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┃ ☆ 第46号 2010.3.31 ☆ ┃
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桜の季節となりました。桜と云えば、「染井吉野」が全国的に有名です。IPAの
近くに駒込駅があります。その付近が旧染井村で、そこの植木職人さん達が創り出
した桜の花が「ソメイヨシノ」と云われています。SECもソフトウェア・エンジニ
アリングを日本全国へ広め、根付かせ、花を咲かせたいと、奮闘しています。
■>>目次<<----------------------------------------------------------
- コラム -
■□1:成功した要件定義
■□2:「CoBRA法に基づく見積り支援ツール」の公開
- お知らせ -
■■1:直近のソフトウェア・エンジニアリング関連イベント情報
■■2:SEC journal 論文募集のお知らせ
■■3:SEC主催セミナー申込みについてのお願い
■□1:-----------------------------------------------------------------
成功した要件定義
SEC所長 松田 晃一
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今回は東京証券取引所の新システム、アローヘッドの話題です。
少し古いニュースになってしまいましたが、今年1月4日から東京証券取引所に
おいて新しい取引システムがサービスを開始しました。このような大規模でミッ
ションクリティカルなシステムが予定通りに完成し、順調に稼動していることは、
ビッグニュースとしてもっと取上げられても良いのではないでしょうか。とかく
「うまく行って当たり前、一旦事故があると大きく取上げられ、叩かれる」とい
う割の合わない感じが強いこの業界ですが、このような成功例については、その
社会的な意義も含めて大いに取上げるべきだと思います。
さて、今回の成功の要因は何だったのでしょう?
もちろん、関係者の様々な工夫と努力の積み上げであることは間違いありませ
んが、その重要な一つに要件定義があると思います。要件定義と外部設計を合わ
せて4000ページに及ぶドキュメントが発注者側の責任において作られたと聞きま
した。特に、このシステムのコアである株オークションの処理については、状態
遷移表のような形で整理して全てのケースを網羅すると共に、曖昧さを無くして
処理内容の誤解を避ける手法が採られました。
機能要件の定義はもちろんのこと、非機能要件についても同様です。応答時間
や単位時間あたりの処理件数など、性能条件やシステムの可用性、さらには処理
能力の拡張性については拡張に必要な作業期間も含めて定めるなど、非機能要件
がしっかりと定義されました。そして、単に要件を定義するだけではなく、その
実現性を開発の途上で常にトレースしたそうです。結果としてできたのではなく、
要件の実現に向けた管理によって実現されたものなのです。
ウォーターフォールモデルの問題点として「要件定義の問題が最終工程にしか
発見できず、手戻りが非常に大きくなる」という指摘があります。このプロジェ
クトでは、要件定義の誤りや実現性の見極めを、最終工程にまで持ち越すことを
避けるために、前の工程に起因する問題が次工程で一定数以上見つかれば、前の
工程へ戻ってやり直すことを徹底したようです。その結果、要件定義に誤りが
あったものの内83%はプログラミングに入る前に発見され、実現性に問題があっ
て要件を変更したものも73%はプログラミング前に発見できた、と報告されてい
ます。問題点への一つの実践的な解が得られたのではないでしょうか。詳しくは、
第4回要求シンポジウムの鈴木氏の講演資料を参照して下さい。
(http://sec.ipa.go.jp/seminar/2010/20100303.html)
しかし、開発がどれだけうまくいっても、潜在的な欠陥を抱えるのは避けられ
ないし、システムを取り巻く環境も常に変化します。それを前提に、欠陥が顕在
化したとしても大きな事故にならないように、また環境の変化に対してシステム
を素早く適応させるなど今後はシステムの管理・運用の力が問われます。
開発が成功したと同様、管理・運用についても成功を収められることを強く期
待するものです。
■□2:-----------------------------------------------------------------
「CoBRA法に基づく見積り支援ツール」の公開
研究員 中村 宏美
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ソフトウェア開発の工数見積りでは、過去のプロジェクトデータの分析に基づ
いて見積りモデルを構築するのが一般的とされています。しかしながら、企業、
特に地方の企業や中小企業によっては過去のプロジェクトデータが少なく、また
分析も行われていないことも多く、プロジェクトマネージャが過去の経験や勘を
駆使して見積ることにより、再現性のない見積りが繰り返されることが懸念され
ています。
CoBRA(*1)はそのような課題を解決する見積り評価手法であり、少量のプロジェ
クトデータとプロジェクトマネージャの経験則があれば、工数の見積り評価モデ
ルを構築できるのが特長です。
独立行政法人情報処理推進機構ソフトウェア・エンジニアリング・センター
(SEC)は、簡単な操作で効率よくCoBRAを活用した工数見積りを行うための支援
ツールを開発しました。(http://sec.ipa.go.jp/index.html)
CoBRA法に基づく見積り支援ツールは、「簡易見積りモデルツール」と「統合見
積りモデルツール」の2つから構成されています。前者は、Webブラウザ上で起動す
るもので、見積りモデル構築に必要なデータはあらかじめシステムで設定されて
いるものを利用するしくみになっており、利用者はプロジェクト実績(規模・工
数)を入力することで簡単に見積りモデルを構築できる、CoBRA初心者向けのツー
ルとなっています。後者は、見積りモデル構築に必要なデータについて詳細な設
定が可能であり、組織の特性を考慮しながら見積りモデルの精度向上を図ること
を目的としたツールです。特に後者については、見積り評価に関する情報が充実
していますので、これらを活用することにより、例えばプロセス改善活動への
フィードバックとしての効果が期待できます。見積り評価という観点は,CoBRAな
らではの特徴です。本ツールの詳しい利用方法については、各ツール内の「ヘル
プ」で確認いただけます。是非ご活用ください。
また、これまでのSECのCoBRAに関する活動は、以下で確認いただけます。
(http://sec.ipa.go.jp/reports/20080905.html)
SECは今後、CoBRAの普及活動を促進して参ります。本ツールの公開を通じて、
CoBRAが広く知られること、そして、システム開発現場の見積り支援に貢献するこ
とを期待します。
(*1) CoBRA:A Hybrid Method for Cost Estimation, Benchmarking, and Risk
Assessmentの略。ドイツ、フラウンホーファー協会のIESE (*2) にて開発。
(*2) Institute for Experimental Software Engineering(実験的ソフトウェア
工学研究所)
■■1:-----------------------------------------------------------------
直近のソフトウェア・エンジニアリング関連イベント情報
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◇ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2010(SES2010)
論文募集:4月30日迄 http://ses2010.ist.osaka-u.ac.jp/
情報処理学会 ソフトウェア工学研究会
◇ソフトウェア・シンポジウム 2010 開催 6月9日〜6月11日
ソフトウェア技術者協会:http://www.sea.jp/index.html
◇今後のSECセミナー予定(変更の可能性があります)
−4月28日 @東京「プロセス改善ベストプラクティス」ワークショップ
以上
■■2:-----------------------------------------------------------------
SEC journal 論文募集のお知らせ
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SECでは、SEC journalの掲載論文を募集しています。
投稿された論文は有識者2名以上で査読審査し、結果は約1か月後に通知します。
次回の締切は6月末です(締切り後に到着した論文は、自動的に次号の審査に繰
り越されます)。
論文テーマ・応募詳細などの詳細は下記にてご確認ください。
http://sec.ipa.go.jp/secjournal/papers.html
■■3:-----------------------------------------------------------------
SEC主催セミナー申込みについてのお願い
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SEC主催セミナーに多数の方々にご参加いただきありがとうございます。
多くの方にご参加いただけるよう「開催回数を増やす」、「定員数を増やす」な
ど努力してまいりますが、セミナー当日のご都合が悪くなった方におかれまして
は、早めに「キャンセル」手続きをしていただきますと他の方が申込みできるよ
うになりますのでご理解、ご協力をお願いいたします。
------------- SEC Webサイト http://sec.ipa.go.jp/ -------------------
□■発行/編集:独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
ソフトウェア・エンジニアリング・センター(SEC)編集:遠藤和弥
〒113-6591 東京都文京区本駒込二丁目28番8号
文京グリーンコート センターオフィス16階
tel : 03-5978-7543 fax : 03-5978-7517
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